メディオ・コンパ

(01)諸々

「ブレリアって難しい」って思わせる要因はいくつもありますが、この『メディオ・コンパ』というのもその要因の一つではないかと思います。

メディオ、すなわち、英語でいうところのハーフ。

半分のコンパス

要は、
1コンパス=12拍 
としたら、
半コンパス=6拍

ブレリアは、

123
123
12
12
12
という12拍1コンパスで回っている場合と

123456(または123123)
123456(または123123)
と6拍ずつで回ってる場合があります。

ずっと最初から最後まで12拍、
もしくは
ずっと最初から最後まで6拍
で回ってくれれば話は簡単なのですが、

12拍で回ってたところに、
突如6拍で終わってしまうコンパスがあったりします。

いわゆるメディオです。

下の動画の1分24秒からの歌、メディオが挟まってます。

その後の振付が
6拍+6拍+3拍+3拍+6拍=2コンパス
という作りになってます。
最後の6拍は落ちるパソなので、ここを長くすることはできない。
ということは、メディオの歌が挟まった時は、
最初の6拍×2セットのところを3セットにするか、
3拍×2セットのところを4セットにするかしたら調整できます。

でも、こういう時の歌って、その時々で変化します。
だから歌を聞いて、即興的に合わせるしかない。
即興的に合わせるとしたら、私なら3拍の振りを続けて、歌が落ちるところで最後の6拍のレマタールをするかな。
要は、3拍×2セットってなってるところを、歌が落ちるまで待って4セットやる。

でも、この日の合わせでは、違和感があってもとりあえず振付した通りに踊ってって生徒に言いました。

とっても素敵に踊れてるのでそうは見えないのですが、実はまだフラメンコを始めて1年半という生徒さんたちもここには混ざっていて、これはレッスンでちゃんと時間をかけて説明した方がいいなって思ったので、この時はそのままにしました。
他の生徒も、咄嗟に言って咄嗟に対応できるとは限らないし、この日は生徒たちに『頭で考える』ことよりも、『心で感じる』方を優先してもらうことを私の中で決めてました。
決められたものをきちんと覚えてきて、決められた通りに踊る方が安心安全で伸び伸び踊れるってことは、最初の頃の生徒にとっては普通のことです。
そんなフラメンコを始めて間もない頃の生徒に、概念的に難しいメディオの説明なんぞしたら、「?????」
となって、心で感じて伸び伸び踊ってた生徒が、またしも思考優先のロボットのような踊りになっちゃうって思ったので、頭を使うことをさせませんでした。

ものには段階がある。

「これがフラメンコだ!」ってものを教えることはすごく大事なことなのだけど、人は一足飛びにいきなりはできないことも多い。
フラメンコにとって大事なことを大切にするのは必要だけど、時にそれは生徒さんの心に負担を掛けることもある。
それって優しくない。
良いものを与えるのがいつでも最良とは限らない。
ティーンエイジャーにシャネルのスーツを買い与えるより、109で買い物しといでってお小遣い上げた方がいいってのと似てる。
ものには段階がある。

教える側にとっていいものではなく、習う側にとっていいものを与えたい。

私はそんな風に考えます。

だから、この日は歌とずれようが、そのまま習った通りに踊って良しとしました。

あと、群舞の場合は、歌に合わせて振りを即興的に変えるというのは、皆がバラバラになる危険性があるので、振付通りに決められた通りに踊ってもらうこともよくあります。

それと、カンテさんには、できたら群舞で、それもキャリアの浅い子たちの群舞の場合は、メディオは入れないようにリクエストをしたりしもます。
当日合わせだけのプロのライブとは違い、生徒たちの出る舞台では何度もエンサージョするので、ミュージシャンたちには生徒たちを助ける為にも、色々と覚えてもらったりというのはよくあります。

そうは言っても、盛り上がってくれば、カンテさんたちは自然な流れでメディオで歌うことは往々にしてあります。
変なことでも、ミスでもありません。
これがフラメンコです。
この日は初回の合わせだったし、お互いが様子見だったので、私はカンテさんにもこの日はリクエストしませんでした。

ギターさんも、カンテさんも、先生である私も、それぞれがそれぞれの価値観がある。

時間をかけて、お互いの価値観を知り、すり合わせをし、歩み寄り、生徒さんたちにとって最良&最善なものを提供できたらいいと思ってます。

ということで、踊り手はメディオの概念を理解し、歌を聞き、歌が落ちるということを感じることができるようになり、即興的にパソを伸び縮みさせれるようになる必要があります。
だから、学ぼう!

ただ、

ちょっとずつね。

ちょっとずつ、ちょっとずつ、分かってくればいい。

焦らない。

時間を掛けてやっていこう。

失敗したとしても、タイミングを逃したとしても、歌を聞く余裕がなくてもいいんだよ。

仕方ない。

失敗すれば学ぶ。

それでいいんだ。

私もいつも失敗ばっかしてる。


ということで、今日のレッスンでは、「メディオってなに?」ってのをやりましょう。

言葉で聞くだけだと頭に入ってこないこともあるので、事前に文字で説明と思って、このブログを書きました。

じゃあ、SPBを踊る生徒さんたち、また後程!

他の方々も、「メディオってのがあるのかぁ」と頭の片隅に入れておいてね。

そうそう、ファンダンゴの2つ目の歌の振付は、最初のコンパスはメディオで振りを作ってます。

ね、メディオってフラメンコでは普通にしょっちゅうでてきます。
なので、この機会に覚えよう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。