ポリシー

(01)諸々

もしうちの生徒が、男性並みに高速サパテアードができるならば、ブラッソもつかず、真っ直ぐに立って、難しい足ばっかの振付もありだと思う。

でも、そんな生徒、うちにはいない。
私もそれはできない。

でも、神様は男性の持つ強靭な筋力の代わりに、華やかで丸くて柔らかい身体を女性に与えてくれた。

やってみるとど素人でも分かることですが、ファルダを動かしたり、ブラッソ、クエルポ、マノを使ったり、顔の向きを変えたりと上半身の動きをすると、簡単な2連符のサパテアードだってものすごく難しい。

でも、直立で高速サパテアードをやる難しさより、難易度が下がったとしても、上半身を使いながらやるサパテアードの方が女性には向いている。
てか、男性のようにできないなら、上半身を使って踊らないと、女性は何で見せれるんだ?

私は生徒が、難しい足に捉われ、足をやるので精一杯で、姿勢も崩れ、顔も真顔で、ブラッソだのクエルポだの全く意識が行かなくなり、フラメンコの抑揚もなく、どれがエスコビージャなのか、どれがレマーテなのかも分からず、はたまた、どこまでが歌振りで、どこからがエスコビージャなのかも把握せず、コントラ祭りのパソでコントラを外しまくり、歌を邪魔するような、ただ足ばっかりの振付をやらせたくない。
コンクール出場を目指す若い子とか、そういう目標があるなら別ですよ。
そこまでの目標があるなら頑張ったらいい。
でも、発表会であるならば、発表会だからこそ、無理のない振付を楽しく、伸びやかに踊って欲しい。
歌やギターに乗って踊ることを楽しみ、自然と豊かな表情になるように踊って欲しい。
顔面蒼白の真顔で、息をすることも忘れるような踊りを舞台で披露するようなことはしないで欲しい。

そして、短くて簡単な振付でもいいから、歌振り、ファルセータ、エスコビージャ、マチョ(ブレリア、タンゴ)等の構成をしっかり理解し、自分でムシコスに説明ができ、なんで歌にサパテアードが入ってくるか等、歌の意味、レマーテの意味を理解しながら踊って欲しい。

難しい振りか、簡単な振りかじゃない。
これ(↑)を理解しているかどうかがフラメンコの踊り手だと私は思う。
難しい振付を踊ったとしても、これを理解してなかったら、その難しい振付は無用の長物。

振付を正確に踊れるかどうかはとても大事なことではあるけど、正確であることだけしか意識がいかないようでは踊りとして足りない。
だったら、正確に踊れることだけに意識がいかないで済むような、その生徒に分相応の難易度の振付を踊らせ、余裕ができた分、正確に踊れる以上のことを舞台でできるようにしてあげたい。

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そんなに、難しい振付を踊りたいですか?

そんなに、難しい振付を正確にやるだけの踊りをお客様にお見せしたいですか?

もしYESならば、うちの教室は向いてない。
都内ならいくらでもフラメンコ教室はあるのだから、他を探したらいい。

稼ぐためだけにやってるんじゃないんだ。
私が良くないと思うものを受け入れてまでして、生徒に留まってもらいたいとは思ってない。
これだからうちは生徒が増えない…。
でも、この私の考えに賛同してくれる生徒だけが付いてきてくれれば、それでいいと思ってる。

難しいサパテアードがなくても、ブラッソやマノにも意識が行き、ファルダも使い、姿勢よく、表情も自然で、客席のお客様が心配にならないような踊りを生徒たちがしていると、私は自然と微笑んでしまいます。

(写真:荻久保次郎)

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