舞踊団公演 第一部⑥ お初とお江の舞 カーニャ
お初とお江:カーニャ
政治の道具として嫁ぐ哀しき姉妹の舞
お江は気付いていた。
姉・茶々を見る時の秀吉の目がいやらしく光っていることを。
「秀吉様の為に政略結婚でも何でも受け入れるから、
姉・茶々には手を出さないで下さい」
と秀吉に懇願した。
親亡き後、二人の姉に守られ生きてきたので、
二人と離れ離れになることは不安だった。
けれども、「私が姉を守る」と心に誓い、
お嫁に行くことを決めた。
お江12歳の時だった。
三姉妹は、「お江」が嫁ぐ前日には遅くまで泣きながら別れを惜しんだ。
次にお初にも縁談の話が舞い込んだ。
お初は父方の従兄弟の元へ嫁ぐことになった。
この時代では珍しい恋愛結婚であった。
愛する男の元へ嫁ぐ幸せ、
その上、その周辺には自分と血筋を同じくする人たちが沢山いる。
お初は幸せだった。
ただ一つ、残される姉・茶々のことだけが気掛かりだった。
お初もお江も、姉・茶々の行く末を思い、笑顔が曇るのであった。
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お江は3度の結婚をします。
1度目の結婚相手とも2度目の結婚相手とも上手く行っていたのに、
1度目は秀吉に無理矢理離縁させられ、
2度目は死別。
3度目の結婚はなんと徳川2代将軍。
そして、お江は徳川3代将軍の母となります。
2度目の結婚で生まれた娘は天皇家に嫁いだので、
今の天皇家には、お江の血、
要は織田信長の血が入ってるってことになるんですね。
女の出世という意味では、頂点を極めた人です。
いわゆるファーストレディー。
けど、それが幸せとは限らない。
ほんとに、天下を取ったって幸せになれると限らない。
お江は、3度の結婚で何人かの子供を産みますが、
手元に置いておけず、取り上げられることが多かったようです。
好きな男性と添い遂げられない。
好きな男性を他の女と分かつ。
好きな男性の子供を産んだものの、その子を手放さなければならない。
これって、全部とってもつらい。
そう考えると女の幸せは、普通の生活なのかもしれません。
私も、
「どんな男性がタイプ?」
と聞かれれば、
「優しくて、大らかで、思いやりがあって」
と答えるでしょう。
いわゆる普通の人です。
「将来、社長になれる人!」
とは言わない。
お金はなければ困るけど、程々でいい。
そうなのだ。
何事も一番いいのは中庸。
貧乏でもなく、金持ちでもなく、普通がいい。
でも、知ってる。
普通ってとっても難しい。
普通の人って、実はいない。
どの人も、どこか普通でないところを持っている。
「普通でいいんだけどなぁ」
と思いつつ、
「普通が一番難しい」
と思う。
普通ってのは究極の完成形なんですね、きっと。
母親のお市の方に、茶々は良く似ていたと言われますが、
生き方としては、お江の方が似てる気がします。
政略結婚を3度もさせられますが、結婚相手からは愛されたようです。
夫に大事にされ、愛され、そしてお江もそんな夫を慕います。
どんな環境でも相手と向き合い、関係を築き上げる。
それは人間的な豊かさだと思う。
これを持ってる人は強い。
同じく次女のお初も夫に愛され、夫を愛し、夫婦仲は良かったようです。
茶々やお初に比べると、お初のお相手は世間的な出世は劣りますが、
お初は好きな人と結婚でき、その相手は側室を取ることもなくお初だけを愛し、
お初はそんな相手を内助の功で支え、幸せだったようです。
お初は大河の主役になるようなキャラではないのですが、
お市、寧々、茶々、お江に比べると、断然幸せな女性だったと思います。
普通に幸せだから大河の主役になるようなキャラじゃないんでしょうね。
波乱万丈だからドラマになる。
そんな二人のお嫁に行く前の心情を踊りで表現するカーニャです。
お芝居の人たちが加わっての通し稽古の初日、
「演じるってこういうことなのか。す、すごい」
二人はびっくりしたようです。
それで、
「できるかしら。いや、もうやるしかない!」
と思ったらしい。
今回の公演では外部への露出度の高さ故か、
男子群舞が注目されているようですが、
女子群舞も是非応援して下さい(*^_^*)
艶やかで華やかな女子群舞も中々いいですよ♪
この二人、儚くも可愛らしく舞います。
是非是非、楽しみになさってて下さい。
チケットのお問合せは
info@miemoriyama.jp
まで。
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