法隆寺と清水寺

(03)舞踊団公演

私は、私の認識は間違ってたんだなって思うことがある。

それは、

「年いってから始めた人たちが、そうそう踊れるようにはならない」

って思ってたこと。

それは間違った認識でした。

 

フラメンコ未経験から始めた生徒たちを何十人も見てきて思うのは、

30代半ばに一つのラインがあるってこと。

女性に限るけど、35よりも後に始めた人たちが苦労するのは、『サパテアード』。

筋力が落ちて来て、お腹が落ちて、足が動かないことが多い。

フラメンコはリズムもものすごく難しい。

若いうちは聞いて何となく感覚で理解できちゃうものも、

年がいってからだと理屈で覚えないと覚えられなかったりする。

 

年いってから始めるのはものすごく大変。

 

けれども、それと、『年いってから始めると上手くならない』はイコールではない。

 

 

うちの教室では、40代になってから始め、ソロで踊れるようになった生徒が何人かいる。

逆に、20代で始めてるのに、

40代で同じ頃に始めた人たちがソロで何度も踊ってるのに、

未だにソロで踊ったことのない20代は山ほどいる。
ただ通して踊れるだけで、踊りになっちゃいない20代も山ほどいる。

まったくもって情けない。

でも仕方ない。20代は迷いが多い時期だから。

 

確かに、同時期に始めて、同じ位の持って生まれた能力があって、同じ位頑張ったとしたら、

40代の人よりも20代の人の方が上手くなるのは早いでしょう。

けれども、20代であろうと、練習しなきゃ上手くはならない。

逆に、40代であろうと、練習する人は上手くなる。

素直に謙虚に先生の指導を受ける人は上手くなる。

 

年齢じゃない。

能力じゃない。

 

本人にやる気があるかどうか。

 

練習するかどうか。

 

それが一番差が付くポイントだ。

 

 

週に何度もレッスンを取り、

週に何度もスタジオを借りては自主練に励み、

皆で集まってはフォーメーションの練習をし、

イベントがあれば必ず参加し、

ソロを踊るとなれば個人レッスンを取り、

フラメンコに明け暮れてるように見える生徒たちがいる。

これまでも、

今も、

人が変われど、そういう生徒たちはいつでも必ずいる。

 

上手くなっていく生徒は、そういう人たち。

年齢は関係ない。

 

そういう人たちは、なんでこんなにも練習するのだろう。

答えは簡単。

「楽しいから」。

楽しくてやってる人には敵わない。

努力だと思ってないから。

 

私はここ最近、やたらと「行動力がある」とか「前向き」とか言われる。

「出不精だし、家とスタジオに引きこもって、

一人であれやこれや考え事してるのが好きな私の

どこに行動力あるんだろう?」

って思うことが多い。

けれども、行動力があると何人もの人に思われるってことは多分あるのでしょう。

けど、本人にその自覚はない。

なぜなら、「行動しなきゃ」と思って行動してないから。

好きなこと、楽しいことをやりたいという衝動に突き動かされ、

気付いたらやってるだけだから。

 

 

楽しいと感じることは無敵!

 

 

2月の公演には、

「踊るのが好きなんだろうな」

って感じた人たちが多く出ます。

本人たちの中では迷いはあるのでしょうが、

他に比べたら踊りに対する『好き』という気持ちに迷いが少ない人たちを選びました。

 

上手いから役が付いた訳じゃない。

想いの強さを私が感じて、声を掛けました。

 

好きじゃなきゃ乗り越えられないことは多いから。

 

 

清水寺のお庭は、良い木だけを集めているそうです。

真っ直ぐだったり、

同じ位の高さの木。

一方、法隆寺は、それぞれの木の特性を活かした庭造りをしているそうです。

曲がった木も、

いびつな木もある。

そういう木でも上手い具合に配置して、綺麗な庭に見せている。

 

今回の公演は、法隆寺と同じやり方。

今後、私がこういった公演を続けていくか分からないですが、

もし続けたとして、

清水寺のように、優秀な人材だけを集めた公演を作るようになるかもしれない。

未来は分からない。

けれども、今回は法隆寺と同じやり方をします。

 

私は私が育てた生徒が可愛い。
私が作る舞台に賛同し、一緒になって舞台を作りたいと集まってくれた仲間に愛を感じる。

曲がった木ですら、その曲がり具合に愛着がある。

いびつなところに味がある。

なので、踊ることが好きで、懸命になってる生徒たちを

どう演出したら素敵に見えるだろうって考えるのが私の役割。

 

舞台でお客さんの心をつかむのは、上手いか下手かだけじゃない。

上手くたって、何の印象にも残らない人もいる。

上手くなくたって、強烈に印象に残る人もいる。

 

 

30代半ばを過ぎてから、はたまた40代になってからフラメンコを始め、

けれども踊ることが楽しくて、

けれども上手くできなくて苦しくて、

でも、頑張ってて、

という生徒さんがどうしたら輝けるか。

 

それも今回の公演の見どころです。

 

是非是非観にいらして下さい(*^-^*)
 

出演しない生徒さんも、是非観に来てね。
舞台の上の生徒たちがどういう踊りをするか、
どういう扱いを受けているか、
どう輝くか。
それを見て下さい。
なぜなら、もしあなたが舞台に乗るとなったら、
こんな感じになるってことだから。
 
 

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