ギャラリー・写真
2022年
10月26日 日本橋公会堂にて 舞踊団公演「LOS TUDOR」を上演
1曲目はオープニングのアレグリアス
アストゥリアス(ヘンリー8世 イングランド史上最凶最悪といわれた国王!)
1485年、薔薇戦争が終結し、イングランドにチューダ朝が開かれました。その時の王はイングランド史上、最も悪名高い国王「ヘンリー8世」(神睦高)。後継者となる男の子を産めないという理由で最初の妻と離婚し、その後次々と妻を取り替え、彼が生涯にもった妻は6人。うち2人は断頭台の露と消えたのでした。美しい容貌からは想像もつかない程の極めて残酷非道なヘンリー8世が舞う。
ソロンゴ(ヘンリー8世最初の妻キャサリン・オブ・アラゴン)
ヘンリー8世とスペイン王室から嫁いできた最初の妻・キャサリン・オブ・アラゴン(吉平梓)の夫婦仲は良く、沢山の子宝に恵まれました。しかしながら、キャサリンの産んだ子はほとんど育つことなく、育ったのは女の子1人だけ。男児の後継者が欲しかったヘンリー8世は、世継ぎを設ける為、キャサリンの侍女だったアン・ブーリンに寵愛を向けるようになっていき、キャサリンと離婚を画策します。しかしながら、ローマ・カトリック教会がそれを認めません。そこでヘンリー8世は、カトリックと決別し、プロテスタントをイングランド国教会にし、離婚が行えるようにしました。スペイン王女であった誇り高きキャサリンは、成り上がり貴族の娘・アンに王妃の座を追われたのでした。
ファルーカ(ヘンリー8世と二番目の妻アン・ブーリン)
悲しみと絶望の中で病に倒れ死んでいったキャサリン亡き後、ヘンリーとアンは仲睦まじく…と思いきや、二人の仲は、あっという間に暗雲(あんうん)が立ち込めていきました。アンが産んだ一人目の子供は女の子でした。二人目の子供は男の子でしたが、アンはその子を死産してしまいました。アンもキャサリンと同じで、男の子を産んでも死産で、大きく育ったのは女の子だけだったのでした。世継ぎを産めないアンは情緒不安定となっていき、錯乱し、不安を募らせていきました。そしてその不安は的中。ヘンリーの寵愛は新たな女に移っていったのでした。
ガロティン(ヘンリー8世と三番目の妻ジェーン・シーモア)
男の世継ぎも生まれず、ヒステリックでわがままなアンにうんざりしていたヘンリーに、シーモア家は娘のジェーンを近づけさせ、ヘンリーの寵愛を受けさせようと画策しました。この時代の貴族にとって娘は政治の道具でした。娘が国王の寵愛を受ければ、一族の宮廷での地位は格段に上がったからです。大人しい性格のジェーンは恐れ多いとヘンリーを拒みますが、親兄弟に逆らうことはできず、更にはアンやその侍女たちから嫌がらせを受け、最初はつらい日々を送ります。そんなジェーンですが、一つだけヘンリーに強く懇願したことがありました。それはキャサリン元王妃の娘、メアリー王女のことでした。メアリーはアンを王妃と認めることを拒否し、逆上したアンに娘のエリザベスの侍女に身を落とされていました。メアリーのことを不憫に思っていたジェーンは、メアリーの王女としての権利を復活させるようヘンリーを説得し、親子が和解するよう心を砕きました。ジェーンのお陰で、宮廷は家庭的で明るく穏やかなものとなっていったのです。そして、ジェーンは待望の男児を出産するのでした。
ティエント(アンブーリン)
エリザベス1世の母として有名なアン・ブーリン。妊娠はするものの、流産と死産を繰り返すアンをヘンリーは見限り、離婚を考え始めます。しかしながら、大騒動を起こしてまでしてアンと結婚したのに、すぐに離婚では体裁が悪いと考えたヘンリーは、アンに無実の罪をかぶせ、処刑することにしました。「姦通罪」「近親相姦罪」「国王暗殺計画」「妖術使い」等の嫌疑がかけられ、身に覚えのない証拠が山のように出てきました。アンは身の潔白を訴え続けたものの、もはやヘンリーの寵愛を完全に失ったと悟ったアンは、まだ3歳にも満たない愛娘に累が及ばぬよう潔く斬首刑を受け入れました。
セラーナ(メアリ―一世)
ヘンリーは年齢を重ねるにつれ健康状態も悪化し、55歳の時に病気で亡くなりました。そして、ヘンリー死去後、ジェーンが生んだエドワードに王位が継承されましたが、エドワードは生まれながらに病弱で、即位後わずか6年半であっけなく亡くなりました。王位はメアリー王女の元に転がり込みました。後世に悪名高き、ブラッディ・メアリー(血まみれメアリー)。父に振り回され、母と引き離され、私生児として扱われ、不遇の人生を送ってきたメアリーにとって、ヘンリーが作ったプロテスタントは憎しみの対象でした。イングランドをカトリック教国に復帰させ、父と母の結婚の無効を宣告した、大主教たちを火炙りにし、その後もプロテスタントの弾圧を続け、処刑は繰り返されました。その光景はあまりに惨く、集まった民衆たちは震えあがり、メアリーは国民の支持を失っていきました。
カルタヘネーラ y タラント(エリザベス一世とロバート・ダドリー)
メアリーには異母妹がいました。メアリーと同じくヘンリー8世を父に持つエリザベスです。エリザベスはメアリーの次に王位継承権を持つものの、メアリーにとって憎しみの根源であるアン・ブーリンの娘であり、何が何でも王位を譲りたくない相手でした。そこでメアリーは即位後、エリザベスに反逆罪の疑いを掛け、ロンドン塔に投獄しました。無実を訴えるエリザベスにメアリーは、「私が望めば、おまえをいつでも処刑できる」と言ってのけました。いつ処刑されるか分からない状況にあったエリザベスでしたが、エリザベスには心の拠り所にした恋人がいました。幼馴染のロバート・ダドリー。ロバートは処刑された反逆者の息子で、父親の共犯を疑われ、エリザベスと同じロンドン塔に投獄されていました。
ソレア・ポル・ブレリア(テロリストたち)
メアリーが病気でこの世を去り、いよいよエリザベスがイングランドの国王になりました。ところが、エリザベスの失脚を望み、王位を狙う者は多くいました。エリザベスの周りは敵ばかり。エリザベスの側近は彼女に結婚を勧め、「政治は夫に任せ、あなたはその人に守ってもらいなさい」と言いました。エリザベスはロバートとの結婚を望みましたが、大反逆罪で処刑された息子との結婚は国中をあげて反対されてしまい、叶いませんでした。でも、エリザベスは、王位を持つ彼女の夫となり自らが権力の座に就くことだけが狙いの男が自分を守ってくれるとは思えませんでした。
シギリージャ(エリザベス&メアリー)
エリザベスを暗殺しようという企ては確かにありました。中でも一番エリザベスの頭を悩ませたのはメアリー・スチュアート。スコットランド女王にして、イングランドの王位継承権も持つ、美しきエリザベスのはとこ。 「メアリーは愛だとか恋だとか囁く男に騙され、いいように操られるから始末に悪い。メアリーが持つ王位継承権に惹きつけられ近寄ってくる権力欲の強い男たちに、どうか利用されないで!」。そうエリザベスは思わざるを得ないのでした。
ペテネーラ(メアリー・スチュアート&侍女たち)
首謀者たちは逮捕され処刑されますが、議会がメアリーを処刑するようエリザベスに進言してきても、エリザベスは中々首を縦に振りませんでした。しかし、メアリーが陰謀に関わったという証拠が見つかり、エリザベスは処刑に同意せざるを得なくなりました。3度も結婚し、その都度夫に振り回され、野心家の男たちに利用されたメアリー・スチュアート。彼女に母アン・ブーリンや姉メアリ一世の面影を重ね、エリザベスは哀れに思ったのでした。そして、「いつか私も断頭台に上がる日が来るかもしれない」とエリザベスは怖くなったのでした。
ソレア(エリザベス&ロバート)
王族の結婚は政治。愛はそこにはなく、相手を利用する為のものでした。しかしながら、多くの女たちは結婚に愛を求め苦しみ、時に愛する夫によって命までをも奪われるのを、エリザベスは子供の頃から見てきました。「結婚に愛を求められないのであれば、結婚はしない」。エリザベスは生涯独身を貫きました。そして、王族なら結婚して世継ぎを設けるのが当然という常識を覆し、自分の子供よりも君主にふさわしい人物に国を託そうと考えました。父が母を断頭台に送ってまでして守り抜いたチューダー朝は、これにより断絶するのでした。エリザベスはロバートとの結婚を諦めたことで生涯ロバートを愛し、ロバートはエリザベスの側で彼女を支え続けました。