10月26日(水)日本橋公会堂「舞踊団公演」第一部

(03)舞踊団公演

今年も舞踊団公演を上演致します。

平日ということもあり、
夜の1公演のみになります。

演目は、1部が「ヘンリー8世」、
2部が「エリザベス」です。

小国イングランドを繁栄に導いたエリザベス女王と、
その父・ヘンリー8世です。


エリザベスは私が演じます。
ヘンリー8世は、まだ決まってません。


さて、今回も舞踊団員たちが主要キャラクターを務めます。

ヘンリー8世というのはシェイクスピア劇にもなった程、
後世に名高い王様です。
ヘンリー8世は、中世のイングランドで、
王として類稀な政治手腕を発揮しました。
ヨーロッパの弱小国に過ぎなかった英国が
後に大国へと発展するその礎を築いた
強運王として名を残しています。
その一方で、ローマ・カトリック教会と決別してまで
最初の妻と離婚を宣言し、
その後王妃を次々と取り替え、
中には王妃を断頭台送りにするなど、
残酷非道な王としても知られています。

舞踊団公演の一部では、ヘンリー8世の妻たちと、
彼らを取り巻く愛憎劇をフラメンコで表現していきます。

ヘンリー8世の最初の妻は、
『キャサリン・オブ・アラゴン』
という方でした。
この方、スペインの王女様でした。
何人もの子供を産むものの、
男の子は死産だったり、早死にだったりで、
育ったのは女の子一人でした。
イングランドは、
女の子でも王位継承権を持つことができますが、
ヘンリー8世は、
「後継者は男子でなくてはダメだ。
女が国を治めたら、国が乱れる」
という考えでした。
なので、
「男の子を産めない妻はいらない」
となり、キャサリンは捨てられてしまいます。

キャサリン役は、吉平梓が務めます。↓

元々キャサリンは、ヘンリー8世の兄のお嫁さんでした。
ところが、兄は病気で死んでしまいました。
スペインは、
「持参金と共に、キャサリンをスペインに返して欲しい」
と願い出ましたが、
持参金が莫大で、イングランドはそれを返したくなく、
代わりに、弟のヘンリー8世が夫となり、
キャサリンはイングランドに残りました。

ただ、カトリックでは、
兄弟の妻を娶ることは禁忌とされていました。
犬畜生と同じってことなんですね。
でも、キャサリンとヘンリーの兄は未だ幼く、
その上、兄は病気だったので、
『本当の夫婦関係はなかった』
ってことで弟と結婚します。

キャサリンは夫に尽くす、良き妻でした。
子供も7人だったか?
結構、ポンポン産みました。
ただ、男の子が育たなかっただけ。
イングランドの国民も、
スペインから嫁いできた愛らしい王女を愛していました。

でも、ヘンリーは、
「男の子を産めないのは、兄の呪いだ」
と信じ、
「代わりに男の子を産める女を妻にしたい」
とキャサリンを捨てました。

その代わりの女が、アン・ブーリン。
悪女と呼ばれ、
時に、魔女とも呼ばれました。
後に女の子を産み、
その子は、英国史上に名を馳せる
『エリザベス女王』です。

アン・ブーリンは、冨田英子が務めます。↓

「俺の女になってくれ」
と言いよるヘンリー8世に対し、
自分が産む子を私生児にしたくなかったアンは、
「ちゃんと妻にしてくれるなら、
あなたのものになってあげるわ」
とヘンリーにおねだりしました。

昔の日本では、
正妻の他に側室を囲うのはよくあることで、
イングランドだって、
正妻がいて、愛人もいるってのは
よくあることでした。
ただ、どうやら違うのは、
日本は側室の子も後継者になれるけど、
イングランドは正妻の子以外は私生児ってことで
王位継承権は与えられなかったようです。

女の子でも王様になれるイングランド、
側室の子でも正当な後継者になれる日本。
ちょっとした違いがあったのですね。

「ならばキャサリンと離婚するよ!」
とヘンリーはアンの言いなりになりますが、
その勇み足に待ったをかける存在がありました。
ローマカトリック教会でした。
そうなんです。
カトリックは離婚がご法度なんです。

ヘンリーは、
「キャサリンは兄の妻だった。
そもそもが、最初からこの結婚は成立してない」
と振り出しに戻るようなことを言ってまでして、
カトリックに離婚を認めさせようとしましたが、
キャサリンが、
「私は純潔のまま、ヘンリーに嫁ぎ、
その後、彼に尽くし、子供も大勢産みました。
なのに、この仕打ち、あまりに酷いわ(涙)」
と涙ながらに反論しました。

これにローマカトリックもイングランド国民も涙し、
キャサリンの人気は莫大なものになり、
ヘンリーをたぶらかしたアン・ブーリンは
悪女の汚名を着せられることになります。

「じゃあ、いいよ。
カトリックが認めないなら、イングランドは国教を
カトリックからプロテスタントにしちゃう!
そして、俺がその国教の首長になる!」
とヘンリーはイングランド国教をプロテスタントにしてしまいました。
これが、後々の宗教のゴタゴタにつながるのでした。

ところが、因果は巡る。
「男の子を産んであげるわ」
とヘンリーをたぶらかした魔性の女・アン・ブーリンでしたが、
男の子を産めませんでした。
最初に生まれたのは女の子(エリザベス)でした。
次に男の子を産むものの、死産でした。

「なんだ、こいつも男の子を産めないじゃないか」
とヘンリーはアン・ブーリンを捨て、
また次の女の方に行ってしまいます。
でも、アン・ブーリンは、
ヘンリーと離婚すれば、娘が私生児に落とされ、
王位継承権をはく奪されてしまうのを知っていました。
その為、離婚を受け入れませんでした。
そこで、ヘンリーはアン・ブーリンの罪を捏造し、
中には、弟との近親相姦の罪まで捏造し、
アン・ブーリンを断頭台に送ります。
死んでしまえば、妻の座が空く。
そしたら、次の女を妻に迎えられる。

そうやって迎えられたのが、
3番目の妻、『ジェーン・シーモア』でした。
ちなみに、アン・ブーリンも、ジェーン・シーモアも、
最初の妻・キャサリンの侍女でした。

ジェーン・シーモアは、小林圭子が務めます。↓

さて、癒し系のジェーン・シーモアは無事に男の子を出産します。
ヘンリー、大喜び!
6人いた妻のうち彼女だけが今もなお、
ヘンリーと同じところ(お墓?)に葬られているらしく、
本当に妻として認められた人だったようです。
ところが、彼女、産後の肥立ちが悪く、
出産後、割と早くに亡くなってしまいます。

悲しみに暮れるヘンリー。

4番目の奥さんは、パプスブルグ家のお姫様だったかな。
ただ、見合い写真ならぬ、見合い絵画があまりにも素敵で、
でも、実物があまり素敵じゃなく、
一目で気に入らなくなり、早々に離婚します。
ひどい( ;∀;)

5番目の奥さんは、ちょっと教養が足らず、
男女関係にも緩く、
姦通罪で処刑されてしまいます。
ヘンリーはアンブーリンに続き、
再び妻を断頭台に送ったのでした。
ひどい( ;∀;)

6番目の奥さんは、
3番目の奥さんの兄弟と恋仲でしたが、
ヘンリーはその男と別れさせ、
自分の妻に迎え入れます。

この6番目の奥さんができた人で、
奥さんとの離婚により、庶子に落とされた娘たち、
最初の奥さんとの間にできた娘(メアリ一世)と
二番目の奥さんとの間にできた娘(エリザベス)も
「ちゃんと自分の後継者としなきゃダメですよ」
とヘンリーを諭しました。
ヘンリーは、言うことを聞き、
メアリーに王位継承権2位、
エリザベスに王位継承権3位を与えました。

で、ヘンリーはその後、病気だったかな?
まあ、もう年ですね。
亡くなります。

その後、3番目の奥さんの息子が王位に就くものの、
病弱だったので、幼くして亡くなります。

そして、キャサリンとの間にできたメアリー一世が
王位に就くことになります。

このメアリー一世、
カクテルにもなった、
「ブラッディ―マリー」の異名を取る方です。
ブラッディマリー、訳すと『血まみれマリー』です。

スペイン王女を母に持つメアリーは、当然ながらカトリック。
そして、母を捨てる為にイングランド国教となった
プロテスタントを憎んでました。
そして、夫はスペインの王子様。

当然ながら、王位につくや否や、
イングランド国教はプロテスタントからカトリックに変わり、
国民にもプロテスタントからカトリックに改宗するように
命令しました。

でも、人の心は命令では動かせない。
カトリックに改宗したくない国民は多くいました。
メアリーは、そんな逆らう国民を火あぶりの刑に処しました。

火あぶり。
生きて業火に焼かれる。
一番苦しい死に方です。

そこからつけられたメアリ一世の異名が、
「ブラッディマリー(血まみれマリー)」
でした。
だから、カクテルのブラッディ・マリーは
トマトでできてて赤いんですね。

王女として生まれるも、
正妻だった母が父に捨てられ、
それにより庶子(私生児)に落とされ、
王位継承権を奪われ、
幼くして母とは引き離され、
時には、
母から父を奪った女(アン・ブーリン)の娘(エリザベス)
の侍女として奉仕させられ、
不遇の娘時代を送ったメアリ一世。

彼女のプロテスタントに対する憎しみ、
妹であるエリザベスに対する憎しみは
かなり強かった。

多くのプロテスタントである国見を業火に焼き、
狂っていったメアリ一。

「女が国を治めると国が乱れる」と言ったヘンリー8世でしたが、
国を乱すきっかけを作ったのは君だよ。
君が娘を追い詰めた。
その娘が、国を乱した。

国民を焼き殺しながら、
女王メアリー一世は涙し、
一部は幕を閉じます。

メアリー一世は、永井祐里が務めます。↓


ヘンリーを取り巻く女性たちは、皆、哀しいですね。

その想いをフラメンコの音楽と舞踊で表現していきます。


さて、長くなりましたので、
2部については、また改めて!

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